当前位置：触站 > 春咲ちぼ太 > ウルトラ作戦007号　怪獣退治は文化祭の前に

ウルトラ作戦007号　怪獣退治は文化祭の前に

今にも浮かび上がりそうなほど、軽やかな足取りで万条目玲子は校内を歩いていた。浮き足立っているのは玲子だけではない。周囲を見回せば、誰もが同じように期待に満ちた表情でせわしなく学校中を行き来している。その手には、模造紙や、ダンボール、大量の工作道具。体力に自信のある生徒がペンキを片手に、脚立を担いでいる姿もあった。玲子の意識の中から、ここ科特女学院を包み込んでいる熱気をひとしきり眺め終えたウルトラエーコは、玲子へと声を投げた。「ずいぶんご機嫌だな」「そりゃそうよ。だって文化祭よ。文化祭！」いつもは落ち着いた口調の玲子であるが、今日はやや興奮気味である。熱を込めた口調でなおも玲子は言葉を続けた。「学校生活における文化祭。それが一体どれほどの青春力を秘めてると思う？クラス別の出し物準備、当日の運営、友人たちと他クラスの催しへの参加、文化祭後のキャンプファイヤーをはじめとする打ち上げ……。それから伝説の時計塔での告白イベントも欠かせないわ。ひとつとってもかなりの青春なのに、それが全部！　一斉に！　行われるのよ！」すれちがう生徒と会釈を交わし、階段を昇っていく。普段